漫画けもの道 2016年2月記

 

 漫画家、レディコミ作家という肩書はどうしても色眼鏡で見られます。ブログ開設後、私の漫画を読まない方から見当違いのメールをずいぶんいただいて閉口しました。金銭労力の要求も中傷もありました。自由に好きな仕事ができて楽しく恵まれた生活をしていると思われているようでした。確かに、どういう働き方をしているのか、金銭的にはどうか、私もデビューまで知りませんでした。新人の原稿料は投稿前にチェックしていましたが、デビュー後の育成システムは入ってみないとわかりませんでした。アシスタント経験はなく、毎月投稿して3~5万円の賞金を稼いで生活費の足しにし、都内でひとり暮らしできていました。デビュー後それ以上に厳しい生活になるとは予想できず、後から余計な苦労をしました。この文章は漫画家という職業について誤解を避けたいという思いと、後進の参考になればとの思いで書き下ろしたものです。特定の出版社や編集者を傷つける意図はありません。個人を特定できないよう時系列を入れ替え脚色もしています。過去の特殊経験者の偏見によるフィクションとしてご理解下さい。 

 同じ頃デビューして数年でやめてしまった人の中に印象に残る作品を描いていた人がいます。しかし続けるのは大変です。ご存じない方には才能がなかったと思われるかもしれません。しかしそうでもなく、10人以上掲載されベテランが多い中で、私でさえ初登場最下位でなく、有名な先生を抜いていたと聞きました。その後も1年ほどの間に5位、3位と順位を上げましたが、それでも次はないという状態でした。たまたま新人がアンケートでベテランを抜いたとしても、ベテランは固定ファンがいて雑誌も単行本も売れるので、簡単に新人と交代ということにはなりません。中には編集長に気に入られ、数字が悪くても抜擢される人もいますが例外です。

 掲載されない限りお金も入らず精神的に苦しく、専属ではなかったので他誌にも持ち込みました。そこで初登場4位だったので担当に認められ、仕事を続けることができました。全て数字です。 アンケート1位2位でないと扱いは変わらない、つまり前後編や集中連載で売り出してもらえないと言われていました。人気のあるベテラン、中堅と競ってトップにならないと評価されません。そんな中でも初登場で1位2位を取る新人もいて、そういう人とぶつかると掲載枠がなくなります。中に入るとその競争の激しさに驚きます。心理的にはデビュー前以下でした。大手でなく弱小でデビューして量産した方がよかったかもしれません。やめた人は才能がなかったと見られてはつらいものがあります。後述しますが、運不運も家庭の事情もあり、色々なことを考えて進路を選択しています。